
この記事は足場を設置する事を考えてある業者様、一般の方へ向けた内容になります。

もっとも業者さんから見れば、すでに知っている内容の可能性も高いので知っているという方は読む必要は無いかもしれませんね。
「上るためだけに、これだけかかるのか」
外壁塗装のお見積りを見た方から、いちばん多くいただく質問です。

塗装そのものではないのに、まとまった金額が計上されている。
そう感じられるのは、当然だと思います。
実際、足場代は外壁塗装の総額のうち、決して小さくない割合を占めます。
ですが、足場は工事の準備ではなく、工事の品質そのものを左右する設備です。
今回は、実際の現場写真をもとに、足場代が何に対する費用なのかをご紹介します。
あわせて、お見積りを見るときに何を確認すればよいのかもお伝えします。
金額の大小ではなく、中身で判断していただくためです。
足場代は何に対する費用なのか

足場を建物のまわりに組み、飛散防止のメッシュシートで囲っています。

このシートは、見た目のためのものではありません。
はっきりした役割があります。
外壁塗装では、洗浄の水しぶき、剥がれた古い塗膜、塗料の粒が周囲に飛びます。
塗料の粒が隣家の車に付着すると、洗車では落ちません。
一度乾いた塗料は、専門的な処理が必要になります。
そして、この対応を求められるのは施工業者だけとは限りません。
工事を発注したお客様が、ご近所との間に立たされる場面も出てきます。
メッシュシートは、その事態が起きないようにするための設備です。
住宅が密集した場所であるほど、この役割は重くなります。
シートを張ると、建物全体が風を受ける面になります。台風の予報が出たときは、一時的にシートをたたみに行きます。これも足場を組んだ側の仕事です。
足場は、建物に固定してはじめて足場になります

足場は、地面に立てただけでは自立しません。
建物に固定する部材が必要になります。
これを、壁つなぎと呼びます。
足場の支柱と建物を結び、倒れる方向の力を建物側で受け止めるための部材です。
この壁つなぎは、必要な間隔が法令で定められています。
足場の種類や高さによって基準は変わりますが、感覚で決めてよいものではありません。
壁つなぎの数を減らせば、材料も手間も減ります。
ですが、風を受けたときに足場が動く原因になります。
組み上がった足場を外から眺めても、壁つなぎが足りているかどうかは分かりません。
だからこそ、決められた基準どおりに組むことを前提にしています。
現在の住宅塗装で主に使われるくさび緊結式は、支柱に付いたポケットに部材を差し込み、ハンマーで打ち込んで固定する方式です。組むときの金属音は、この打ち込みの音です。
安定した姿勢でなければ、決められた量は塗れません
足場のもうひとつの役割は、作業の安定です。
足場がないまま無理に作業をすると、手が届く範囲しか施工できません。

特に2階部分や軒天まわりは、安定した足場があってはじめて、決められた量の塗料を均一に塗ることができます。
作業床にも、満たすべき条件があります。
- 両足を置いて作業できる幅があること
- 床材のあいだにすき間ができないこと
- 手すりと、その下のさんが入っていること
職人が体を預けられる床があってはじめて、両手で道具を扱えます。
片手で体を支えながらでは、ローラーに均一な力はかけられません。
塗装の品質は、職人がどれだけ安定した姿勢で塗れるかに左右されます。
技術や塗料の話の前に、足元の話がある。
足場代は、その足元をつくるための費用です。
狭い場所こそ、作業床の有無で仕上がりが変わります

建物と隣地の間に限られたスペースしかない場所でも、作業床を確保して移動できるようにしています。

住宅の側面は、多くの場合いちばん狭い場所です。
そして、いちばん傷みが見落とされやすい場所でもあります。
狭い場所で脚立だけに頼った作業をすると、姿勢が不安定になります。
姿勢が不安定な状態では、塗料を均一に塗り広げることが難しくなります。
数年後に塗膜が先に傷むのは、こうした無理な姿勢で塗られた場所からです。
しかも、条件はもともと不利です。
- 北面や側面は日当たりが悪い
- 乾きにくく、湿気が残りやすい
- コケや藻が発生しやすい
もともと条件の悪い面に、施工の甘さが重なる。
塗り替えのとき、いちばん先に傷んでいるのが側面や北面である理由は、ここにあります。

隣地との距離が取れない面では、足場の組み方そのものを変えて対応します。
支柱を通常どおり組めない場所では、部材の幅を変えたり、組み方を調整して作業床を確保します。
ここで「入らないので脚立で対応します」となると、その面だけ施工の質が落ちます。
建物の中で最も条件の悪い場所こそ、きちんとした足場が必要になります。
足場を組んではじめて分かる傷みがあります

足場があることで、高い位置から建物外周を確認できます。

外壁工事では、塗る作業だけでなく、施工前の点検が非常に大切です。
ここに、外壁塗装の見積もりが抱える構造的な問題があります。
見積もりは、足場を組む前に作られます。
つまり、地上から見える範囲の情報だけで金額が決まっているということです。
地上からでは判断しにくいのは、こうした場所です。
- 建物の角
- 帯板(幕板)まわり
- 軒天の奥
- 2階の窓まわり
- 屋根と外壁の取り合い部分
細かなひび割れや浮きは、近くで見なければ見つかりません。
実際に、高い位置の部材に傷みが出ているケースもあります。

画像はわかりやすい痛みの箇所が映っていますが、実際足場を組んだあとに、想定していなかった傷みが見つかることがあります。

そのときにどう対応するかが、業者によって大きく分かれるところです。
追加費用を請求する場合もあれば、対応せずに上から塗ってしまう場合もあります。
後者は、その場では何も起きません。
問題が表に出るのは、ずっとあとになってからです。
着工前に確認しておきたいこと
- 足場を組んだあと、状態を報告してもらえるか
- 想定外の傷みが見つかった場合、どう対応するのか
- 追加費用が発生する条件が事前に決まっているか
- 点検時の写真を見せてもらえるか
この取り決めがないまま着工すると、工事の途中で判断を迫られることになります。

高い場所の劣化は、近くで見てはじめて分かることが少なくありません。
足場を組んだ時点で、状態をお伝えするようにしています。
工事中の暮らしにも配慮が必要です

足場の支柱には養生材が巻かれており、接触したときの衝撃をやわらげています。

工事期間中も、そこには人が住んでいます。
玄関から出入りし、駐車場に車を停め、洗濯物を干します。
足場の支柱は、その動線のすぐ横に立ちます。
夜間や荷物を持っているときに、頭や肩をぶつける可能性があります。
特に、小さなお子様やご高齢の方がいらっしゃるご家庭では注意が必要です。
別の場所でも、支柱に緩衝材を取り付けています。

こうしたひと手間は、完成後の見た目には残りません。
ですが、工事のあいだ毎日そこで生活する方にとっては、小さくない違いです。
工事前に確認しておきたい生活面のこと
- どの窓が、いつ養生で塞がるのか
- 洗濯物はどこに干せるのか
- 車の出し入れに制限が出る日はあるか
- エアコンの室外機は使えるのか
- 工事期間はどのくらいか
これらを先に聞いておくと、工事中のストレスは大きく減ります。
窓の養生は、開けられない期間が出ます。ここを説明せずに着工すると、たいてい早い段階でご連絡をいただくことになります。

工事中は、どうしてもご不便をおかけします。
何がいつ制限されるのかを、先にお伝えするようにしています。
組んだあとも、足場は点検が必要です
足場は、組み上げて終わりではありません。
強風や大雨のあと、地震のあとには、作業を始める前の点検が必要になります。
支柱のゆるみ、床材のずれ、壁つなぎの状態を確認します。
台風の多い時期は、この確認を怠ると足場そのものが危険なものになります。
工事が空いたあとの再開時にも、同じ確認を行います。
高い所の高圧洗浄も、足場があるから届くということもあります

画像は、1階の軒下なので、届きますが、高い所の高圧洗浄も必要な時は、足場が無いと届かないというのはあります。そして、高圧洗浄や、綺麗にするというのは、塗装の前に必ず行う工程です。

外壁に付いた汚れ、コケ、藻。
そして劣化して粉状になった古い塗膜を洗い流します。
これらが残ったまま塗料を重ねると、新しい塗膜は下地ではなく汚れの上に乗ることになります。
汚れごと剥がれてくるのは、数年後です。
そして、洗浄で最も落としにくいのは、軒天の奥や外壁の上部です。
地上からノズルを向けても、水圧は距離とともに落ちます。
近い位置から、適切な角度で当てられること。
これも足場があってはじめて成立します。
水圧は、強ければよいわけではありません

業務用の高圧洗浄機は、家庭用とは水圧がまったく違います。
その分、当て方を間違えると建物を傷めます。
劣化したシーリングに至近距離で当てれば、そこから切れます。
傷んだ木部や軒天の板は、水が内部まで入り込みます。
サッシのすき間に向けて当てれば、室内に水が入ります。
洗浄は、落とすべき汚れの種類によって、当てる角度と距離を変える作業です。
チョーキングを落とすときと、コケを落とすときでは扱いが違います。
そして洗浄後は、下地が乾くのを待ってから塗装に入ります。
濡れた下地の上に下塗りを入れると、密着不良の原因になります。
乾くまでにかかる時間は、季節と天候でまったく変わります。工程表の日程よりも、下地の状態を優先して判断しています。
こちらの正面まわりでも、足場と養生によって作業しやすい環境を整えています。

ここまでをまとめると、足場代は上るための費用ではありません。
- 安全の確保
- 作業姿勢の安定
- 細部まで届く施工性
- 飛散の防止
- 点検のしやすさ
これらすべてを含んだ費用として考える必要があります。
仕上がりの確認も、足場の上で行います

工事の終盤でも、足場があることで建物全体を確認しながら進められます。

塗り残しがないか。
細かな部分まで施工できているか。
付帯部の状態に問題がないか。
こうした確認は、足場があるうちにしかできません。
足場を解体したあとで不具合が見つかると、直すために足場を組み直すことになります。
組み直しになれば、当然その分の費用と日数がかかります。だからこそ、解体前の確認は職人側にとっても最後の関門です。
こちらは、記事の冒頭でもご覧いただいた同じ現場です。

組んだときと同じ足場を、最後の確認にも使っています。
足場の解体前に、仕上がりを一緒に確認させていただくこともできます。
高い場所は写真でお見せしますので、上っていただく必要はありません。
足場代を無駄にしないために、いちばん有効なこと

ここまで足場の役割をご紹介してきましたが、費用の話に戻ります。
足場代を最も有効に使う方法は、はっきりしています。
足場が必要な工事を、一度にまとめることです。

一度組んだ足場は、そのまま屋根にも使えます。
足場は、外壁だけのために組んでも、屋根と一緒に使っても費用は変わりません。
足場が必要になる主な工事
- 外壁塗装
- 屋根塗装、屋根の補修
- 雨どいの交換
- 破風板、軒天の塗装や補修
- シーリングの打ち替え
- ベランダの防水工事
- テレビアンテナの交換
これらを別々の時期に行うと、そのたびに足場代が発生します。
外壁塗装から数年後に屋根を塗ることになれば、足場代をもう一度払うことになります。
一方で、まだ持つ場所まで無理に工事する必要はありません。
判断のポイントは、次の塗り替えを迎えるまでの間に必要になるかどうかです。
それまでに手を入れることになる場所であれば、今回まとめたほうが結果的に安く済みます。
まだ十分に持つ場所であれば、無理に含める必要はありません。
この判断をするためには、屋根も外壁も、まとめて状態を見ておく必要があります。

まだ持つ場所であれば、今回は不要ですとお伝えします。
必要のない工事を足す必要はありません。
足場代の見積もりで確認しておきたいこと

足場代は、業者によって計算の考え方が違います。
金額だけを比べても、何が違うのか分かりにくい項目です。

そこで、金額そのものではなく、書かれ方を見ていただきたいのです。
見積書で見ておきたいこと
- 足場の面積が数字で書かれているか
- 飛散防止のメッシュシートが含まれているか
- 「一式」表記だけで終わっていないか
- 足場の設置と解体の両方が含まれているか
- 近隣への挨拶や説明を行うか
足場の量は、建物を採寸して算出するものです。
そのため「一式」としか書かれていない場合、何をどこまで組むのかが分かりません。
面積が数字で入っているお見積りは、建物をきちんと見て作られたものだと判断できます。

足場代が安いお見積りが、必ずしも問題があるわけではありません。
建物の形状や隣地との距離によって、必要な足場の量は変わります。
問題は、その差が説明されないまま金額だけを比べてしまうことです。
「足場代を無料にします」というお話を受けられた場合は、その分がどこに含まれているかをご確認ください。
足場は、材料と職人の手間がかかる工事です。
無料になる理由があるとすれば、他の項目に振り分けられているか、組む量そのものを減らしているかのどちらかです。
内容が分かりにくいと感じたときは、着工前に質問しておくことをおすすめします。
屋根と外壁、まとめて見ておきませんか
外壁塗装を検討されている方の多くが、屋根の状態を確認していません。
理由は単純で、屋根は自分で見られないからです。
ですが、外壁の塗り替え時期を迎えている家は、屋根も同じ年数が経っている場合があります。
同じ年数、同じ雨と紫外線を受けてきています。
屋根と外壁を別々に塗装されている場合もあるので全てでは無いですけどね。

そして屋根のほうが、条件は厳しくなります。
外壁は垂直なので雨が流れ落ちますが、屋根は傾斜が緩い分だけ水が留まる時間が長くなります。
日差しも、真上から受け続けます。
外壁が塗り替え時期なら、屋根も一度確認しておく価値があります。
その結果、屋根はまだ持つという判断になることもあります。
それが分かるだけでも、次の計画が立てやすくなります。
こんな段階からのご相談も歓迎しています。
- 「足場代が思ったより高かった」
- 「屋根も一緒にやるべきか判断できない」
- 「他社の見積もりの内容がよく分からない」
- 「他社がタイミングが合わず緊急で依頼したい」
工事をするかどうか決めていない段階でも問題ありません。
気になる部分の写真をお送りいただくだけの簡易ご相談も承っています。


