
「外壁塗装は、上から新しい塗料を塗ればきれいになる」
そう思われている方も多いのではないでしょうか。

確かに、塗装をすれば外観はきれいになります。
ですが、きれいになることと、長く持つことは別の話です。
塗装前にどのような下地処理を行い、外壁以外の細かな部分までどう施工したか。
完成すると見えなくなるこの部分が、そのあとの持ちを決めています。
今回は、外壁を濃色へ塗り替えるとともに、雨戸や金属部分、軒天まわりまで施工した現場をご紹介します。
あわせて、業者を選ぶときに何を見ればよいのかもお伝えします。
施工前の外壁と付帯部分の状態

施工前の外壁です。
外壁そのものだけでなく、濃色部分や目地、建物の角などにも経年による汚れや傷みが確認できます。

現地調査では、壁の面よりも先に、目地と角を見る場合もあります。
傷みは、そこから始まる事も多いからです。
サイディングの外壁で、最初に劣化が出るのは板の面ではありません。
- 板と板のつなぎ目にあるシーリング
- 建物の角(出隅・入隅)
- 窓まわりの取り合い
- 水切りや幕板との境目
どれも、素材が切り替わる場所です。
素材が違えば、温度による伸び縮みの度合いも違います。

その動きの差を、シーリングが吸収し続けています。
シーリングが硬くなって切れると、そこから壁の内部に水が入ります。
入った水は、真下ではなく、下地を伝って離れた場所に症状として出てきます。
だから、外壁の面がまだきれいに見えていても、点検が必要になります。
傷んだ表面に、そのまま塗料を重ねてしまうこと
外壁塗装で最も注意したいのは、劣化した状態の上から塗料を重ねてしまうことです。
表面に汚れや、劣化して粉状になった古い塗膜が残ったまま塗ると、新しい塗膜は下地ではなく汚れの上に乗ります。

塗った直後は、どちらもきれいに見えます。
見た目に差が出るのは、ずっとあとになってからです。
ここが、外壁塗装という工事のいちばん難しいところです。
工程を省いても、完成した瞬間の見た目は変わりません。
お客様が違いに気づくころには、工事は終わっています。
だからこそ、施工中の写真を残してお見せしています。
完成後には確認できない部分を、記録として持っていただくためです。
塗装前に雨戸の表面を下地処理します

こちらは雨戸の塗装前の作業です。
表面を研磨し、新しく塗る塗料が密着しやすい状態へ整えていきます。

この研磨作業を、塗装の現場ではケレンと呼びます。
塗ってしまえば、まったく見えなくなる工程です。
ケレンには、3つの目的があります。
- 浮いている古い塗膜を取り除く
- 発生しているサビを落とす
- 金属の表面にわずかな傷をつける
3つめが、意外に思われるかもしれません。
金属の表面はなめらかで、そのままでは塗料が滑ってしまいます。

あえて、細かい傷をつけて表面をざらつかせることで、塗料が引っかかる足がかりができます。
この足がかりの有無で、塗膜の密着力は大きく変わります。
サビ対策もこの時に行います。
そして、サビの上から塗料を重ねても、サビは塗膜の下で進行を続けます。
やがて内側から塗膜を押し上げ、膨れや剥がれとなって表れます。

ケレン作業も含めて、可能な限り必要な工程をスピーディーに行うことで、お客様にかかる費用を抑えることも大事な事です。
研磨を終えた金属面には、間を置かずにサビ止めの下塗りを入れます。
削った金属面は、空気に触れた時点から再びサビはじめるためです。
※ケレンは地味で、時間がかかって、終わっても誰にも見えません。それでも省けない工程というのが、この仕事にはいくつもあります。
外壁塗装は、壁だけを塗る工事ではありません
外壁塗装という言葉から、家の壁だけを塗るイメージを持たれるかもしれません。
しかし実際の住宅には、外壁以外にも多くの部材があります。
- 雨戸、シャッター、シャッターボックス
- 金属製の扉、メーターボックス
- 軒天
- 破風板、鼻隠し
- 雨樋
- 水切り、幕板
- 庇(ひさし)
これらをまとめて、付帯部と呼びます。
外壁だけがきれいになっても、周辺部分が古いままだと建物全体としては傷みが目立ちます。
※車で例えるなら黄ばんだライトがあるだけで車が古臭く見えてしまう感じと似ています。

そして付帯部は、見た目の問題だけではありません。
雨樋も破風板も、建物を水から守っている部材です。
お見積りに付帯部の記載がない場合、工事の範囲に含まれていないことがあります。
どこまでを工事に含めるのかは、着工前に確認しておくことをおすすめします。
金属製の扉も、素材に合わせて下地を整えます

こちらは金属製の扉部分です。
塗装を始める前に、表面を研磨して整えているところです。

同じ建物でも、素材が違えば下地処理も下塗り材も変わります。
金属部分は、サイディング外壁とは性質がまったく違います。
- 塗料を吸い込まない
- 表面がなめらかで滑りやすい
- 温度で伸び縮みする幅が大きい
- 塗膜が切れるとサビが進む
そのため、当たり前ですが、ケレン作業をしたうえで、必要に応じて金属にはサビ止めの下塗り材を使います。
外壁のサイディングに使う下塗り材とは、まったく別のものです。
ここで外壁と同じ下塗り材を流用すると、密着不良やサビの再発につながります。

どの部材に、どの下塗り材を使うのか。
この組み合わせを間違えないことが、塗装の基本になります。
「どうせ上から色を塗るのだから、細かな傷は関係ない」
そう思われるかもしれません。
ですが、塗装は表面に直接施工する工事です。
下地の状態が、そのまま塗膜の寿命になります。
だから、私たちプレストビルドは、下地の事について手を抜くことはありません。
ですが、激安な仕事をされる業者さんの場合は、この下地に対する作業が一番コストがかかり、一番、技術や能力、経験がかかるところであり、また言い方は悪いですが、一番誤魔化しやすいところでもあります。
なぜなら、状況によってはその弊害が出るのが4年後とかだったりするからです。

私たちはそうならないようにという事をとにかく意識しています。
だからこそ、激安でされてある事業者さんと、金額だけで比較されると高くなる可能性もあります。
ですが、その金額の意味は、長く建物を良い状態にしておくという事があるからです。
何度も塗るタイミングが増えれば、単純に足場の費用は余計に大きくなります。

だからこそ、少ない回数で綺麗に仕上げ、長くもたせるという事が大事になるというわけです。
外壁は、凹凸に合わせながら塗り込んでいきます

下地を整えたあと、外壁を塗装していきます。
今回のお住まいは、石積みを思わせる凹凸のあるサイディングです。

凹凸のある外壁は、平らな壁より手間がかかります。
模様のくぼみの奥まで、塗料を届かせる必要があるためです。
ローラーを軽く転がすだけでは、凸の部分にしか塗料が乗りません。
くぼみの底が塗り残しになると、そこから先に劣化が始まります。
そのため、凹凸のある外壁では毛足の長いローラーを使います。
毛が長いほど、くぼみの奥まで塗料を運べます。
同じローラーでも、壁の模様に合わせて使い分ける道具です。
塗る回数も、平らな壁より慎重に見ます。
凹凸のぶんだけ表面積が増えるため、必要な塗料の量も増えるからです。
写真では色が変わっていく途中が写っています。どこまで塗ったかがはっきり分かるので、こういう現場は職人としては気持ちのよいものです。
濃い色に塗り替えるときに、気をつけていること
今回は、明るい外壁から濃色への塗り替えです。
色を大きく変える場合、下の色を完全に隠せているかを確認しながら進めます。
隠しきれていないと、乾いたあとに下の色がうっすら透けて見えます。
そして濃色は、塗りムラが最も目立ちやすい色でもあります。

濃い色は、光の当たり方でムラが浮きます。
日が傾いた時間帯に、もう一度確認するようにしています。
濃色を選ばれる場合、事前にお伝えしていることがあります。
- 色あせは、淡い色より目立ちやすい
- 日射を吸収するため、壁の表面温度が上がりやすい
- 汚れは付きにくいが、白っぽい汚れは目立つ
色は好みで選んでいただくもので、こちらが決めるものではありません。
ただ、選んだあとに起きることは、先にお伝えするようにしています。
外壁塗装は、建物の色を変更する工事ではありません。
雨と紫外線にさらされ続ける外壁を、塗膜で保護し直すためのメンテナンスです。
雨戸は、形状に合わせて吹き付けで塗装します

雨戸部分では、吹き付けによる塗装を行っています。

雨戸は、細かな溝が連続している部材です。
ローラーでは、溝の奥に塗料が入りません。
霧状にした塗料を吹き付けることで、溝の内側まで均一に行き渡らせることができます。
刷毛で一本ずつ塗る方法もありますが、溝の数だけ塗り跡が残りやすくなります。
一方で、吹き付けには扱いの難しさがあります。
霧状の塗料は風に乗り、想定より広い範囲まで飛散します。
風の強い日は、養生をしていても飛散の範囲が読めなくなります。
そのため、当日の風の状況によっては吹き付けを見送り、工程の順番を入れ替えて対応します。
隣家の車や外構を汚さないことも、工事の一部だと考えています。
雨戸は、外して塗る方法と、付けたまま塗る方法があります。戸袋の構造や動きの具合を見て決めますが、無理に外すと戻すときに不具合が出ることもあるため、慎重に判断しています。
細かな部分は、刷毛を使って仕上げます

広い面だけでなく、窓の上部や外壁との境目も施工していきます。

ローラーを入れる前に、刷毛で境目を先に塗っておきます。
この作業を、現場ではダメ込みと呼びます。
ローラーは、平らな面を効率よく均一に塗るための道具です。
その代わり、角や器具のきわ、狭い隙間には入りません。
先に境目を塗料で埋めておくことで、あとからローラーを転がしたときに塗り残しなくつながります。
順番を逆にすると、境目に細い塗り残しの線が残ります。
離れて見れば分かりませんが、真下から見上げたときには目に入ります。
外壁と軒天、窓枠などが接する場所は、色がはみ出しても塗り残しが出ても目立ちます。
広い面をきれいに仕上げることと同じくらい、境目の処理に時間をかけています。
塗らない部分を守る養生も、重要な工程です

窓や周辺部材が、ビニールやテープで養生されています。

養生は、塗料を付けたくない場所を保護する作業です。
完成後はすべて外すので、お客様には見えなくなります。
養生が雑だと、窓枠やサッシ、給湯器などに塗料が付着します。
乾いた塗料は、簡単には取れません。
そして養生は、仕上がりの精度そのものにも関わります。
境目にテープをまっすぐ貼れているか。
浮きや隙間がないか。
この処理の丁寧さが、塗り分けたラインの直線に出ます。
養生は、暮らしにも影響します
養生が始まると、窓が開けられない期間が出ます。
換気ができない、洗濯物が干せない、室外機が使えない。
説明がないまま着工されると、住んでいる方の負担になります。
そのため、どの窓がいつ塞がるのかを先にお伝えするようにしています。
着工前にお伝えしていること
- どの窓が、いつ養生で塞がるのか
- 洗濯物はどこに干せるのか
- 車の出し入れに制限が出る日はあるか
- エアコンの室外機は使えるのか
この説明を省くと、たいてい早い段階でお電話をいただくことになります。先に伝えておくだけで防げることです。
塗装工事の品質は、塗っている瞬間だけで決まるものではありません。
- 下地処理
- 素材に合わせた下塗り材の選定
- 養生
- 施工場所に合わせた道具の使い分け
- 細かな部分の確認
- 天候を見た工程の組み立て
これらを積み重ねて、ひとつの外壁塗装工事が完成していきます。
外壁塗装業者を選ぶときに、確認できること

外壁塗装は、専門的な言葉が多く、比較が難しい工事です。

ですが、専門知識がなくても確認できることはあります。
お見積りで見ておきたいこと
- 部位ごとに項目が分かれているか(「一式」だけになっていないか)
- 下地処理が工程として書かれているか
- 使用する塗料の製品名が書かれているか
- 下塗り、中塗り、上塗りの回数が書かれているか
- 付帯部がどこまで含まれているか
「外壁塗装一式」としか書かれていない場合、何をどこまで行うのかが分かりません。
後から範囲でもめる原因にもなります。
打ち合わせで聞いておきたいこと
- 足場を組んだあと、状態を報告してもらえるか
- 想定外の傷みが見つかった場合、どう対応するのか
- 施工中の写真を見せてもらえるか
- 雨天が続いた場合、工程をどう組み直すのか
これらに具体的に答えられるかどうかで、工事の進め方が見えてきます。

他社さんのお見積りについて、書かれている内容の意味をご説明することもできます。
外壁だけでなく、住まい全体を見ながら施工します
プレストビルドは、外壁塗装だけでなく住宅リフォーム全般に対応しています。
そのため、塗装で足りるのか、補修や交換まで踏み込むべきかを、同じ窓口でご相談いただけます。

塗装だけの会社では、木部の交換や板金の取り替えが工事に含められないことがあります。
腐りが進んだ木に塗料を重ねても、劣化を隠すだけで進行は止まりません。
塗るべきか、直すべきか。
この判断ができることが、リフォーム全般に対応している会社に相談する意味です。
外壁塗装のご相談の中で、こうしたお話をいただくことがよくあります。
- 「雨戸もかなり傷んできた」
- 「玄関まわりも気になる」
- 「軒天や外装の細かな部分も一緒に見てほしい」
- 「せっかく足場を組むなら、屋根も見ておきたい」
足場を必要とする工事は、時期を合わせることで足場費用を一度にまとめられます。
どこまでを今回の工事に含めるかは、建物の状態を見たうえでご提案します。
完成写真だけでなく、施工途中も見てみてください


外壁塗装業者を選ぶとき、施工後のきれいな住宅写真を見る方は多いと思います。
もちろん、完成した仕上がりを見ることは大切です。
ですが、完成写真は、どの会社が施工しても似たものになります。

差が出るのは、その手前です。
施工中の写真で見えること
- 塗装前に表面を研磨しているか
- 素材ごとに下塗り材を変えているか
- 養生の範囲は十分か
- 外壁以外の部分まで施工しているか
- 細かな場所を刷毛で仕上げているか
価格だけで外壁塗装業者を決める前に、どんな工程で施工している会社なのかを確認してみてください。
金額の差には、必ず理由があります。
その理由を説明できるかどうかが、判断の材料になります。

まだ塗装しなくても、もつ状態であれば、そうお伝えします。
工事をおすすめしないという結論になることもあります。
外壁の色あせや汚れ、雨戸や軒天などの傷みが気になってきたら、まずは現在のお住まいの状態を確認してみませんか。
工事をするかどうか決めていない段階でも問題ありません。

気になる部分の写真をお送りいただくだけの簡易ご相談も承っています。
その場合は、LINEで連絡いただければ幸いです。


